関節リウマチとは
関節リウマチは、本来なら病原菌などの外敵を攻撃するはずの免疫が暴走して自分自身の身体を攻撃し(自己免疫)、主に手足の関節が腫れたり痛んだりする病気です。炎症の症状は関節に留まらず、目や肺など全身に拡がることもありますし、微熱や倦怠感、食欲不振などの症状が現れることもあります。
主な症状ですが、初期症状としては、朝起きた時に手足などの関節を動かすと、こわばって動かしにくく感じる、関節のあちこちが痛む、手足のしびれや痛みがあるといったことがあります。患者様により、病状や進行に差はありますが、骨や軟骨に小さな欠損部(骨びらん)ができたり、さらには関節の破壊や変形をきたしたりすることもあり、日常生活が少なからず制限されてきます。
女性の患者数は男性の3~4倍
リウマチ患者は、女性が男性の約3~4倍と多く、発症するのは主に30~50代です。しかし、60歳を超えてから、あるいは高校生以下の若い年齢層に発症するケースも少なからずみられます。
また、リウマチの発症には遺伝が関係することが知られています。ただ、家族にリウマチの患者がいるからといって、必ずしも発症するわけではありません。
リウマチの診断
関節リウマチは、早期からの治療によって進行を抑制できることが明らかになっています。そのため、当クリニックでは検査を重要視しており、問診をはじめ、血液検査※(RF、MMP-3、ESR、CRP、IgG)・画像検査(MRI、X線写真、超音波検査)・関節エコー検査などを行い、 これらの結果を照らし合わせて、総合的に診断いたします。なお、血液検査については、「抗CCP抗体」を測定する、早期診断に有用とされる診断方法も行っています。
また、早期の関節リウマチとよく症状が似ているため、鑑別する必要のある病気もたくさんあります。早めの治療を心がけるためにも、これらとの違いもしっかりと見極めなければなりません。リウマチの症状に心当たりのある方は、一度診断を受けてみてください。
関節リウマチと鑑別が必要な疾患
- 変形性関節症
- 全身性エリテマトーデス
- 強皮症
- 混合性結合織病
- シェーグレン症候群
- 多発性筋炎・皮膚筋炎
- 痛風・慢性痛風
- 偽痛風
- 乾癬性関節炎
- 掌蹠膿疱症性骨関節炎
- 反応性関節炎
- 線維筋痛症
- リウマチ性多発筋痛症
- RS3PE症候群
- 回帰性リウマチ など
リウマチの血液検査について
リウマチの治療法について
リウマチは今のところ根治治療といったものはありません。そのため、リウマチの「寛解」(病気の症状が一時的・継続的に軽くなる、または見かけ上消失した状態)を目標に治療します。治療によっていったん寛解に入った後も、以降は寛解を維持することが大切です。
具体的には、炎症を鎮め、関節破壊の進行を抑えて、関節を変形させないようする。あるいは、体の不自由さを最小限にとどめ、生活の質(QOL)を向上させて、よりよい生活を送るといったことです。治療法としては、薬物療法、手術療法、リハビリテーションなどを行います。多くの場合、本格的な薬物療法を行えば、症状の進行はかなり抑えることができます。
薬物療法について
薬物療法では、痛みや炎症を抑えたり、リウマチの進行を抑える手助けをします。ただし、免疫機能に影響する薬が多いので、副作用には注意が必要です。 最近は、免疫抑制作用によってリウマチを治療するメトトレキサートや、関節破壊の抑制作用に優れる生物学的製剤などの登場により、炎症や痛みを抑えるだけでなく、病気の進行を食い止めて関節が破壊されるのを防ぎ、患者さんの生活の質(QOL)を高める治療が行えるようになってきました。
薬物療法で使用される主なお薬
リウマチのリハビリテーション療法
痛みや炎症を取る効果が薬物療法には期待できます。
しかし、薬にばかり頼って関節を動かさないでいると、関節が固くこわばってしまうことがあります。そこで、筋力向上と関節可動域を広げて、日々の生活を過ごしやすくするためにも、リハビリテーションが必要です。
リハビリテーションは、毎日繰り返し、長期にわたっておこなうことで、関節の機能障害を抑えられ、また痛みも和らいでいきます。療法としては、主に温熱療法や運動療法を行います。